ふるさと納税のテーマパークチケットマスターへの道は、
コンビニコーヒーから始まった

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ふるさと納税のテーマパークチケットマスターへの道は、コンビニコーヒーから始まった

※登場人物は全て仮名です。

朝9時のコンビニ。いつものようにコーヒーを買おうとレジに並んでいた私、35歳独身OLの田中ミキは、前に並んでいた見知らぬ女性の会話を聞いてしまった。

「ねえねえ、今年もふるさと納税でUSJ行くんだ。もう5年連続よ」
「いいなあ。私も今年こそやろうと思って」
「絶対やった方がいい。実質2000円で家族全員分のチケット取れるんだから」

実質2000円。

私の手からスマホが滑り落ちそうになった。去年のゴールデンウィーク、USJのチケット代に8500円払ったばかりだ。しかも一人分で。

コーヒーを受け取るのも忘れて、その場でスマホを開いた。検索窓に「ふるさと納税 テーマパーク」と打ち込む。

出てくる出てくる。USJ、ディズニー周辺ホテル、ハウステンボス、富士急ハイランド。

「お客様、コーヒー」

店員さんの声も耳に入らない。私は何をしていたんだ。こんなお得な制度があったのに、なぜ誰も教えてくれなかったんだ。いや、みんなSNSで言ってたのかもしれない。私が見てなかっただけで。

会社で聞いたら、衝撃の事実が判明

会社に着くなり、隣の席の佐々木に聞いた。

「ねえ、ふるさと納税でテーマパークのチケットもらえるって知ってた?」

佐々木は目を丸くした。

「え、知らなかったの。ミキさん、毎年ディズニー行ってるのに」

は?

「私、もう3年くらいふるさと納税でチケット取ってるよ。去年なんてホテルの宿泊券ももらって、2泊3日で実質2000円だった」

計算が得意な私の脳が瞬時に弾き出す。私が去年使った金額は約7万円。佐々木が使った金額は実質2000円。差額6万8000円。

「ちょっと席外すね」

私はトイレに駆け込んだ。個室に入って深呼吸する。落ち着け、田中ミキ。過去は変えられない。大事なのはこれからだ。

そう自分に言い聞かせたものの、涙が止まらなかった。

初めてのふるさと納税は、まるでゲームだった

その日の昼休み、私は楽天ふるさと納税のサイトを開いた。

まず控除上限額をシミュレーション。年収450万円の独身なら、約6万5000円まで寄付できる。つまり6万3000円分がほぼ丸々戻ってくる計算だ。

「これ、やらない理由がない」

次にテーマパークのチケットを検索。USJのチケット2枚で寄付額3万円。ディズニー周辺ホテルの宿泊券で3万円。合計6万円。

ポチッ。

ポチポチッ。

気づいたら申し込み完了していた。所要時間わずか15分。なんだ、こんなに簡単だったのか。

ワンストップ特例制度の申請書も、スマホで写真撮って送るだけ。確定申告すら不要。

「私、今まで何してたんだろう」

お昼ご飯のパスタが、やけに味気なく感じた。

周りに布教活動を始めたら、思わぬ反応が

その日の夜、いつもの飲み会で友達3人に力説した。

「いい、みんな聞いて。ふるさと納税でテーマパークのチケット取れるの。実質2000円で」

友達A「知ってる。去年からやってる」
友達B「私も。というかミキ、今まで知らなかったの」
友達C「常識じゃない?」

常識。

その言葉に、私は焼き鳥を喉に詰まらせそうになった。

「じゃあなんで教えてくれなかったのよ」

友達A「だってミキ、いつも忙しそうだし」
友達B「SNS見てないって言ってたじゃん」
友達C「てっきり知ってると思ってた」

確かに。私はここ数年、SNSをほとんど見ていなかった。仕事が忙しくて、インスタもツイッターも放置していた。

みんなが情報交換してる間、私だけが取り残されていたのだ。

ハマりすぎて、とんでもないことになった

それから私のふるさと納税ライフが始まった。

週末はふるさと納税サイトを巡回。お得な返礼品を探すのが趣味になった。テーマパークのチケットだけじゃない。ホテルの宿泊券、レストランの食事券、温泉施設の利用券。

「これ全部、実質2000円で手に入るんだ」

気づいたら、来年の旅行プランが5つも決まっていた。

2月:ハウステンボス(チケット4枚)
4月:ディズニーランド(周辺ホテル宿泊券)
7月:USJ(チケット2枚+ホテル)
9月:富士急ハイランド(チケット2枚)
11月:温泉旅行(宿泊券)

「ミキさん、最近楽しそうだね」

佐々木が声をかけてきた。

「うん、来年は月1で旅行するの」

「え、すごい。お金持ちなんだ」

「違うよ、全部ふるさと納税」

佐々木の顔が引きつった。

「え、それって控除上限額超えてない?」

その瞬間、私の脳内で警告音が鳴り響いた。

役所に電話したら、青ざめた

急いで控除上限額シミュレーターを開く。私の年収で寄付できる上限は約6万5000円。

でも私が申し込んだ総額は、18万円。

11万5000円分が、ただの寄付になる。控除されない。戻ってこない。

「うそでしょ」

次の日、市役所の税務課に電話した。

「あの、ふるさと納税で上限額超えて申し込んじゃったんですけど」

「キャンセルできるかは、各自治体に問い合わせてください。ただ発送準備に入ってる場合は難しいかもしれません」

私は5つの自治体に電話をかけた。

結果、3つはキャンセルできた。でも2つは既に発送準備完了。チケットも宿泊券も、来月届く予定らしい。

合計で約8万円の損失確定。

損して学んだ、本当に大切なこと

翌週、友達との飲み会で正直に話した。

「私、ふるさと納税でやらかした。8万円損した」

みんな大笑い。でも馬鹿にする笑いじゃなくて、温かい笑いだった。

友達A「ミキらしいよ」
友達B「でもすごいじゃん。1ヶ月でそこまでハマるって」
友達C「私も最初、上限額ギリギリまで使おうとして焦ったもん」

そうか、みんな最初は失敗してるんだ。

「で、結局どうするの」

「キャンセルできなかった分は、お母さんにプレゼントする。温泉旅行、喜ぶと思うし」

それを聞いた友達Cが言った。

「それいいね。ふるさと納税って、誰かを喜ばせるためにも使えるんだ」

その言葉で、ストンと腹に落ちた。

確かに8万円は痛い。でも母は喜んでくれるはずだ。私が定価で買ってプレゼントするよりも、ずっと賢い選択だ。

今では立派なふるさと納税マスター

あれから半年。

私は職場で「ふるさと納税の人」として認識されるようになった。新入社員にやり方を教えたり、おすすめの返礼品を紹介したり。

先月は母と温泉旅行に行った。実質2000円の旅行とは思えないくらい豪華で、母は終始笑顔だった。

「ミキ、ありがとうね」

その言葉を聞いて、8万円の損も悪くなかったと思えた。

今年は上限額をしっかり守って、USJとディズニーランドのチケットを確保済み。来月、友達3人でディズニーに行く予定だ。

コンビニコーヒーを買いに並んだあの日から、私の人生は少しだけ豊かになった。

そして今日も、職場の後輩に力説している。

「いい、絶対ふるさと納税やった方がいいよ。でも上限額は守ってね」

 

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